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郵便局 

~1月はBLOG更新強化月間~


お題ケリ倒し企画!
いよいよラストスパートDEATH!





郵便局


「おばあちゃんはな・・・」
(また始まった・・・)
ヒロシはもぞもぞとお尻を動かした。

ヒロシは祖母と共に居間に居た。
今日は1月にしては暖かい日だ、とテレビが繰り返していたが、
1月は1月。寒いものは寒い。
ヒロシはそう思っていた。
コタツの中で足を組みなおす。

「おばあちゃん、まあ、みかんでも食べたら?」

ヒロシは孫だが、祖母と一緒には住んでいない。
斜向かいにヒロシの家はある。

とにかくこの祖母と言う人は元気が良くて、
チャキチャキしているものだから、母は苦労していた。
見かねた父が、もともと畑だった土地に家を建てた。

それまで同居だったが、家が離れたことで、ご飯も就寝も風呂も別。
もともと祖母は古い人だから、生活サイクルが違うのだ。
母だけでなく、祖母のほうも家が別になり、息が出来るようになった、
ヒロシはそんな風に感じた。

今日は日曜日。
ヒロシはしがない高校生で、しかも今年は受験。
こんなふうにコタツでのんびりする時間はないはずなのに・・・。

「それでな。おじいさんいう人が、立派で。当時は建物も素晴らしゅうて・・」
「そうなんだ」
「そうなんだじゃないで。とにかく他にゃあありゃあせん。」
「立派だったんだ」
「ほうじゃ。ほんで、ラジオ体操じゃあゆうたらうちの前に皆集まって」
「え、郵便局に?」
「お前は何をゆうとるんなら。うちが郵便局じゃがな」

とにかく祖母の話は同じ内容が多くて、
近頃ではボケが始まったとかで、認知症とか病気だからとか父は言ってたけど、
とりあえず、はいはい。と言っておかないとうるさい。
しかし、適当にはいはいだと、怒り出すので、返事の加減が難しい。

祖母の話だと、うちが郵便局で、父は局長で、地域のみんなに慕われていて、
祖母にはそれが自慢だったようだ。
その気持ちと少しでもずれた返答をしたものなら、また同じ説明を受けたり、
あるいは怒り出すので大変だ。

「あ~、おふくろ早く帰ってこんかなぁ」
「何かゆうたか」
「なんも言わんよ。おばあちゃんのお父さんは、ええ人だったんだね」
「ええ人じゃない。立派な人じゃ」
「立派な人だったんだね」
「よう分かっとるがな。お前会うたことがあったかいな」
「ないよ。なくても分かるの。」
「お前は、おじいさんに似とるな」
「え?」
「おじいさんと会ったんも、ここだったんじゃ」
「え、郵便局?」
「郵便局じゃない。うちが郵便局だったんじゃがな」

祖母の父、曽祖父はヒロシが生まれる前に亡くなったので、全く知らないが、
祖父の方は、ヒロシが幼い頃、可愛がってくれていた。
そして、ヒロシがまだ10才にならないうちに亡くなった。
それからだ。祖母は少しキツクなったようにヒロシは思った。

「どうやって知り合ったの?」
「じいさんとか?」
「おじいちゃん、お客さんだったの?」

祖父が亡くなってからというもの、祖母は祖父の事を口にしなくなった。
そんな祖母を気遣い、みんなもあまり口にしていなかった。
その祖父の話を、祖母から聞くのは、とても珍しいことだった。

「ほうじゃあ。好青年だったで。私しゃあ、ここの仕事を手伝っとったけんなあ」
「そうなんだ」
「じいさんは毎日の様に手紙を出しにきてな」
「うん」
「実はな、それ、全部自分におくっとったんじゃあ」
「えっ。なんで」
「ばあちゃんもじいさんの名前、知らなかったしなあ。」
「ええっ。まさか、ばあちゃんに会うために?」
「みたいじゃなあ」
「えー」
「ほれで、後で、見せてくれたん。今日も会えたとかな、手紙には全部私のことが書いてあったんじゃ」
「わあ~。情熱的じゃなあ」
「ばあ~ちゃん、見せられた時は恥ずかしかったけどな。嬉しかったあ」
「おじいちゃんやるなあ。手紙はまだあるん?」
「そんなん、内緒じゃ」

祖母はそう言うと、フフフ・・と、笑った。
その笑顔は、まるで子どもの様に無邪気だった。

郵便局。
祖母がそう繰り返していた建物は、もう、とっくに無くなっている。
祖母も本当は分かってる。ただ、その時のイメージが、胸に強烈に沸き起こるのかも知れない。
ヒロシはそう思う。
外から写したモノクロの写真を一度見せて貰ったことがある。
木造であるだろう建物には、木の匂いがして、
床はキシキシと軋んだ音を立てたのだろうか。

そうして、その中で、カウンターには祖母が居て、
祖父が、ドアをガタガタと開けて・・・。

ヒロシが取り留めなく考えていると、玄関の方で音がした。
母だ。
ヒロシは少しほっとしながら、おかえり~と、声をかけた。







終わり

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

封筒の書き方 #- | URL | 2012/03/14 11:44 * edit *

いえいえ

はじめまして~
コメントありがとうございました。
是非また遊びにきてくださいね☆(^u^)/

ナッカン #- | URL | 2012/03/19 21:07 * edit *

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