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時刻表 

~1月はBLOG更新強化月間!!~
お題wo次々ケリ倒していこうZE☆
略して 「お題ケリ倒し企画☆」 かろうじて展開中!







時刻表


静かに、だが時には大きく、一定のリズムを刻んで、振動する。
その音と動きに身を任せながら、ツトムは実家に帰省していた。

単線ローカルの1両編成。
夕暮れに少し早い車内に乗客は少なく、
高齢の女性と数人の学生が、それそれに沈黙を守っている。
ツトムの降車する駅は、終着駅のひとつ手前だ。
かたんかたん。かたんかたん・・。という音を聞いていると、
手にした文庫が進まず、ウトウトしそうになる。

ツトムは都心の大学に進学し、卒業後はそこで就職した。
初めての就職で懸命になる内、気が付けば5年以上家に帰っていなかった。
次第に夕暮れが深まる中、窓の外を眺めると、そこには自分が映っている。
窓に映る自分は、ただの平凡なサラリーマンだ。

実家とはいえ両親は居ない。
大学卒業前、事故で揃って亡くなった。
内定を喜んでいてくれた親の事を思うと、就職をやめて地元に帰るという選択は取れなかった。
実家は祖父母だけになったが、老いた祖父母は、ツトムにとっては守ってくれる存在であり、
逆に自分が支えるということも、当時の自分にはピンと来なかった。
実感がなかった、とでもいうのだろうか。

その時、車内の沈黙を割るように、駅名が告げられた。
目的の駅にもう少しで到着する。
窓の外はもう、薄暗くなっていた。

ツトムは手にしてした文庫本にしおりを挟むと、鞄にしまった。
そして、コートのポケットから手袋を取り出し、身につける。

プラットホームが一つの小さな駅に、電車がゆっくりと停車した。
降車の駅に到着したのだ。
降りなければ・・。
ツトムは荷物をまとめ立ち上がった。
他の人は終点まで乗るのだろう。誰も立ち上がろうとはしない。

ツトムがホームに降り立ったその後ろで、ドアが閉まっていく。

無人のホームは、学生の頃から特に変わった様子はなかったが、人が、居ない。
駅前の商店のぼんやりとした灯りも、以前に比べ、賑わいに欠ける気がした。

無人の改札に券を入れ、通り抜ける。

目の前のがらんとした駅に、これから帰る祖父母の待つ自宅に、
同じような寂しさの様なものを感じる。老いた、とでもいうのだろうか。

その時。待合を眺めるツトムの目に、時刻表が飛び込んできた。
新しくなって字が大きく表示され、蛍光灯の灯りに白く光っている。

ツトムが学生の頃も本数が多くは無かったが、タイヤが変わったのだろう。
昼の本数が少なくなり、朝夕の通勤時には、それでも少しは本数があるようだ。

この駅に特急は止まらない。
終点の駅から特急に乗るのも手だが、
ツトムは手帳を取り出し、帰りの上り電車の時刻をメモした。

駅舎は寒かったが、車内は暖かかった為、震えずに字が書けた。
いくらもかからず作業を終える。
手帳を胸にしまったツトムは、荷物を手に歩き出した。

ツトムが去った駅舎はまた、静かに人を送り出し、迎え入れるのだろう。
名も無い小さな駅だが、駅前に幾つかの商店があり、近くに住宅地もある。
少しずつ寂れていく中でも、同じように営みは繰り返されている。

冬の夕暮れ。
無人の駅舎の中、壁の時刻表が静かに、待合の椅子を眺めていた。




終わり
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